沿革
公益法人の生命は、その基礎の堅固さとその後の発展にある。その礎石は末延道成氏によって据えられた。同氏は、開成学校(後の東京帝国大学)で法律学を修め、財界における多数の要職を経て、東京海上火災の取締役会会長を務められた方であり、永年蓄積された資産の一部は社会に還元すべきものとの固い信念により、育英財団の設立を遺言された。
この精神的・財産的固い基礎の上に、東京大学法学部教授末延三次氏は、岳父の遺言に従って昭和8年に本財団を設立し、初代理事長職に就かれた。その後戦争の時代を経て、戦後には東大定年後に迎えられた立教大学に「鳥洞奨学金」(鳥洞は岳父の雅号)を設け、それを契機として本財団の再編成と着実な発展の時代に入った。本財団の主目的は育英・奨学にあるが、奨学金の支給がすべてではなく、知的探求心の育成と維持のため、毎年新旧奨学生を招いて学術講演と懇親の会を催したり、学会出席の奨励や就職待ちオーバー・ドクターに対する援助等きめ細かな配慮により、近年は旧奨学生の中から教育職に就く者が増えており、本財団の発展傾向の現れといえる。現在の奨学生が働き盛りを迎えて社会に貢献する頃には、本財団は創立百周年を迎えるであろう。
事業内容
本財団の事業は、初代理事長がわが国の英米法と比較法の発展に指導的役割を果たされたことに鑑み、英米法専攻者や法学を専攻して英米法の問題をも十分に取り上げる者に対する奨学・育英という重点主義をとるが、早くからその枠は緩和され、関係する学会や研究会、在外研究・国際学会出張・国際的学術交流(外国の一流法学者の招聘)等についての資金援助から、出版不況により埋もれる危機にある優秀著書刊行の助成にまで踏み切っている。本財団は育英の基礎を厳守しながら、我が国の研究と教育における喫緊の要求に真摯に対応する発展を遂げたいと願うものである。
法人の成立年月日 1933年(昭和8年)7月22日
所在地
公益財団法人 末延財団事務局
住所 | 〒102-0085 東京都千代田区六番町13番地4 浅松ビル3階C室 |
電話 | 03-6272-4669 |
メール アドレス | info@suenobu-zaidan.or.jp |
公益財団法人末延財団役員一覧表
(令和6年3月現在)
役職名 | 氏名 | 現職 |
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理事長 | 滝澤正 | 上智大学名誉教授 |
常務理事 | 末延成彦 | 会社役員 |
理事 | 高見澤磨 | 東京大学東洋文化研究所教授 |
理事 | 浅香吉幹 | 東京大学大学院法学政治学研究科教授 |
理事 | 末延淳三 | (株)末延商事 代表取締役 |
理事 | 金原恭子 | 千葉大学名誉教授 |
理事 | 岩田太 | 神奈川大学法学部教授 |
理事 | 藤澤治奈 | 立教大学法学部教授 |
理事 | 溜箭将之 | 東京大学大学院法学政治学研究科教授 |
理事 | 金丸精孝 | 弁護士 |
監事 | 竹内春美 | 竹内税務会計事務所所長 |