ご挨拶

理事長 滝澤 正

私は、2018年(平成30年)5月より、公益財団法人末延財団の理事長を務めさせていただくことになりました。日頃より財団の活動を通じてお世話になっていることに対して感謝申し上げるとともに、今後ともよろしくお願いいたしたいと存じます。本財団の成り立ちについては、財団概要の「沿革」において述べられているとおりであります。創設は末延道成氏および末延三次氏の育英事業に対する強固な意思と尽力によるものであり、その基本理念は、設立から80年以上を経た今日に至るまで一貫して変わるところがありません。

これまでの末延財団は、初代理事長が末延三次氏、第2代理事長が末延道彦氏と、末延家の方が担ってまいりました。初代理事長は、我々比較法・外国法を専攻する者にとっては、末延先生とお呼びするのが相応しい英米法の大家であります。先生は、1933年(昭和8年)の財団設立以来、戦中戦後の中断の時期をはさんで1989年(平成元年)に逝去されるまで、半世紀に及んで理事長をお務めくださり、本財団の基礎を築かれました。先生のご逝去の後は、ご長男である末延道彦氏(現顧問)が理事長職を引き継がれて、本年までのほぼ30年間にわたって、財団が目指す育英事業の継承、発展に尽力されました。今回役員を退かれましたが、これまでのご貢献に感謝申し上げるとともに、顧問として大所高所からご助言を賜りたいと思います。今後は前理事長のご長男の末延成彦氏に常務理事として参画いただきますが、ほかにも末延家ゆかりの関係者のご支援が常にあり、本財団のバックボーンを形成しています。

法学の専門家という見地からの財団の活動の支援は、長い間末延先生の教え子に当たる諸先生が担ってこられました。時代の変化とともに、現在の役員には先生の直弟子の方は昨年の大木雅夫理事のご勇退を最後にもはやおられません。しかし、孫弟子や末延奨学生としてお世話になった方、外国法に理解のある先生方が強力に支えてくださっております。心強いかぎりです。

ところで本財団は、法人法の改正に伴い、公益法人への転換を目指すこととなり、2012年(平成24年)にその認可を受けるに至りました。申請の過程においても認可後においても、株式を基本財産とするという本財団の財務体質に由来して、法制上の収支相償という課題に常に直面しております。本財団としては、当財団の趣旨に沿った適正な事業の拡大こそが、公益財団としての使命の遂行にふさわしいものと考えており、役員が一丸となって事業の展開に尽力してまいりましたし、現在も努力しておるところであります。その過程におきましては、とりわけ金丸精孝事務局担当理事のご貢献が貴重であります。

本財団は、今後ともわが国における英米法、比較法・外国法、さらにはより広く法学全体の発展に寄与してまいりたいと考えております。関係者の皆さまには、変わらぬご支援とご教示を賜りますようお願い申し上げ、就任の挨拶といたします。